正規表現とは?データ処理やメールフィルタリングを効率的にする正規表現【具体例付き】

システム運用や監視の現場では、大量のログや通知の中から必要な情報を抽出し、不要なデータを除外することが求められます。そこで活用されるのが「正規表現」です。
正規表現を使うことで、特定のキーワードや条件に一致するデータを素早く検索・抽出・フィルタリングできます。例えば、エラーログのみを抽出したり、特定の単語を含むメールだけを通知する設定が可能になります。
本コラムでは、日々の業務を効率化する方法として、正規表現の基本と具体的な活用例を紹介します。
目次
- 正規表現とは?
- 正規表現の基本説明
- システム運用の現場で正規表現が用いられる背景
- メールのフィルタリングに正規表現を使う方法(具体例)
- 不要なメールを除外する
- 重要なメールだけを通知する
- 特定の送信者からのメールを分類
- 夜間・休日の不要なアラートを抑制
- 自社以外の送信元をブロック
- フィルタリング後の通知を確実に届ける方法
- 「急コール」の機能とそのメリット
- 急コールの主な機能(処理フロー)
- 急コール導入のメリット
- 急コール独自の特長
- まとめ:通知のフィルタリングで業務効率を向上する方法
正規表現とは?
システム運用やデータ管理の現場では、日々膨大なログや通知が生成され、必要な情報が埋もれやすくなります。この状況では障害の見落としや対応遅延のリスクが発生し、業務負担も増加します。このような課題を解決するために活用される方法の一つが 「正規表現」 です。
正規表現の基本説明
特定の文字列のパターンを定義し、それに一致するデータを検索・抽出・置換するための仕組みを「正規表現」と言います。
例えば、以下のような用途で活用されています。
- ログファイルから特定のエラーメッセージを抽出する
- メール通知のフィルタリング行う
- フォーマットの異なる日付を統一する
- 入力データのバリデーション
シンプルなキーワード検索では対応できない複雑な条件も、正規表現を使うことで簡潔に記述できます。
システム運用の現場で正規表現が用いられる背景
監視ツールやシステムからは、日々大量のエラーメールやログが送信されます。すべてを手作業で確認すると時間がかかり、緊急対応の遅れにつながる可能性があります。さらに、通知が多すぎると、重要な警告が埋もれ、見落としのリスクが高まります。
通知の過多によって担当者の運用負荷が増大すると、本来の業務に集中できなくなるという問題も発生します。大量の通知を処理するためにリソースが割かれ、経験や知識を活かした判断・対応が後回しになることも問題です。
この課題を解決するのが正規表現によるフィルタリングです。特定のキーワードや条件を定義し、本当に必要な通知のみを抽出することで、対応の優先順位を明確にし、業務負担を軽減できます。
正規表現によるフィルタリングのメリットまとめ
- 重要な通知の見落としを防ぐ
- 不要な通知が減り、監視チームの業務負担を軽減
- 障害発生時の初動対応がスピードアップ
- 無駄な作業(不要な通知への対応)を削減
正規表現はシステム運用や監視の現場で広く利用されており、大量のデータを効率よく処理するために不可欠なツールとなっています。
メールのフィルタリングに正規表現を使う方法(具体例)

メールのフィルタリングに正規表現を活用すると、特定のパターンに一致するメールを分類・除外・優先通知することが可能です。これにより、重要なアラートのみを抽出し、不要な通知を効率的にフィルタリングできます。
具体的には、件名・送信者・本文の内容を正規表現で判別し、必要なアクションを自動化できます。ここからは、具体的なフィルタリング方法をご紹介します。
不要なメールを除外する
監視ツールから大量のアラートメールが届く場合、重要なエラーだけを残し、情報通知レベルのメールを除外する場合。
- 具体例:ログレベルが「INFO」「DEBUG」のメールを除外(行頭に [INFO], [DEBUG]がある行を除外対象としてフィルタ)
^\[(INFO|DEBUG|NOTICE)\] - フィルタ対象(除外)
[INFO] System check completed
[DEBUG] API response time: 100ms - フィルタ非対象(通知)
[CRITICAL] Server down detected
重要なメールだけを通知する
障害レベルが 「CRITICAL」や「SEVERE」 であるメールのみを受信し、それ以外はスルーする場合。
- 具体例:重要なアラートだけを通知 (「CRITICAL」,「SEVERE」の文字列が、行頭以外でもどこに現れても対象とする)
(CRITICAL|SEVERE) - フィルタ対象(通知)
Zabbix Alert: CRITICAL – CPU Usage 99%
Nagios: SEVERE – Memory Leak Detected - フィルタ非対象(除外)
Zabbix Alert: WARNING – Disk Usage 70%
特定の送信者からのメールを分類
特定の監視ツール(Zabbix, Nagios, AWS CloudWatch など)のみを通知対象にする場合。
- 具体例:特定の送信元だけ通知(件名や本文中に「Zabbix Alert」「Nagios: SERVICE ALERT」「AWS CloudWatch Alarm」のいずれかが含まれる場合にマッチ)
(Zabbix Alert|Nagios: SERVICE ALERT|AWS CloudWatch Alarm) - フィルタ対象(通知)
Zabbix Alert: CRITICAL – DB Connection Failed
AWS CloudWatch Alarm – High Latency – ALARM
夜間・休日の不要なアラートを抑制
夜間(22時~翌6時)の「WARNING」レベルの通知を除外し、深刻なアラートのみを受け取る場合。
- 具体例:夜間の不要な通知をフィルタ
^.*(WARNING).*(22:..|23:..|00:..|01:..|02:..|03:..|04:..|05:..) - フィルタ対象(通知)
23:45 Nagios: CRITICAL – Web Server Down - フィルタ非対象(除外)
23:30 Nagios: WARNING – High Disk Usage
自社以外の送信元をブロック
自社など特定のドメイン(@example.com)のメールのみ許可し、それ以外の送信元を除外する場合。
- 具体例:自社ドメインからのメール以外を除外
^From: .*@example\.com - フィルタ対象(通知)
From: alert@example.com – CRITICAL: Server Down(通知) - フィルタ非対象(除外)
From: bot@randomdomain.com – Daily Log Report(除外)
フィルタリング後の通知を確実に届ける方法
ここまで見てきたように、正規表現を活用してメールをフィルタリングすることで、重要なアラートのみを通知することが可能になります。
正規表現には業務効率の向上など多くのメリットがありますが、通知を最適化するだけでは、本当に必要な情報が担当者に確実に届き、適切に対応されるとは限りません。重要なメールを選別しても、「そのメールが確認されなかった」場合、意味がなくなってしまいます。
24時間365日稼働するシステム運用・監視の現場では、特に夜間や休日の対応が課題になります。 メール通知だけでは、緊急性の高いアラートを確実に伝えるには不十分なケースもあります。
このような課題を解決するのが「急コール」です。
急コールは、特定のアラートメールをトリガーに、担当者へ自動で電話通知を行い、確実な伝達と対応状況の確認が可能なクラウドサービスです。
次に、急コールの機能とそのメリットについてご紹介します。
「急コール」の機能とそのメリット
急コールは、システム運用・監視の現場で広く導入されている自動電話通知サービスです。自社のインフラ監視や運用業務の効率化のために活用されるだけでなく、監視サービスを提供する企業がクライアント向けのソリューションとして導入するケースも増えています。
「急コール」Webサイトはこちら

急コールの主な機能(処理フロー)
急コールは、アラートメールをトリガーに担当者へ即時電話通知し、リトライ機能や対応状況の記録機能により、重要なアラートの見落としを防ぐことができるクラウドサービスです。
1.受信したアラートメールの内容を解析・・・特定のキーワードを含むメールを抽出
2.担当者に自動架電(自動で電話通知)・・・受信したメールをトリガーに、設定された担当者へ自動架電(一斉/順次)、応答がない場合はリトライ機能で再発信し、確実に通知
3.音声ガイダンスによる通知・・・通話時にアラート内容を音声で伝達
4.担当者による応答・・・担当者はボタン操作で対応状況を入力(例:「1」で対応済み、「2」で別担当へ転送)
5.架電結果の通知・・・架電結果をメールやSMSで自動通知(複数の通知先に送信可能)
6.ログ管理・履歴確認・・・全ての架電履歴や対応状況を記録し、管理者が確認可能、証跡管理や運用改善に活用
急コール導入のメリット
急コールは、サーバー監視・ネットワーク機器監視・設備異常検知などのシーンで活用され、特定のアラートメールをトリガーに担当者へ自動で電話通知を行い、迅速な対応を支援します。メール通知だけでは見落としが発生しやすい環境でも、電話による確実な伝達とリトライ機能により、重要なアラートが確実に対応者へ届く仕組みを提供します。
- 重要なアラートを確実に伝達し、見落としを防ぐ
- リトライ機能により、担当者が応答するまで通知を継続
- 夜間・休日のアラート対応を自動化し、監視業務の負担を軽減
- 不要なメール通知を削減し、効率的な運用を実現
- 架電結果を共有し、チーム全体で迅速な対応が可能
急コールを導入することで、システム監視や障害対応の確実性を向上させ、運用コストの最適化にも貢献します。
急コール独自の特長
急コールは、2017年にクライアント様の要望を受けて開発され、名称「連絡絡情報解析通知システム及び連絡解析通知装置」として特許を取得(特許番号: 特許第6244057号)しています。緊急時の迅速な連絡(自動化)と初動対応の高速化に役立つ、高い技術力を活かしたサービスであることが特長です。
機能も豊富で、非架電条件の設定では、任意で非正規表現を使用することもできます(非正規表現の使用は、サービスのサポート対象外です)。呼出秒数設定の自由度が高いことも特長で、「対応可能な人に早く確実に通知ができる」点に特にご好評をいただいています。
急コール独自の特長
- 特許取得技術
- 「非架電条件」に正規表現が使用できる
- 呼出秒数設定の自由度が高い
重要なアラートのみをメールで通知するだけではなく、「情報を確実に届ける」「初動対応を迅速に行う」ことが求められる現場では、より確実な通知手段が不可欠です。急コールなら、アラートをリアルタイムで担当者に自動で通知し、対応状況の確認まで一元化できます。夜間・休日でも確実に伝達し、障害対応の遅れを防ぐ仕組みを提供します。確実な通知と迅速な対応を実現したい方は、ぜひ急コールの導入をご検討ください。
特定メールの受信を電話で知らせる「急コール」
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まとめ:通知のフィルタリングで業務効率を向上する方法
システム運用や監視業務において、通知の最適化は不可欠です。通知精度が低いと、対応の遅れや業務負担の増大といった問題が発生し、運用全体に悪影響を及ぼします。
例えば、障害発生時に対応が遅れると、サービスの停止時間が長引き、顧客への影響が大きくなります。 一方で、不要な通知が多すぎると、監視担当者の負担が増加し、本当に重要なアラートを見落とすリスクが高まります。 また、夜間や休日にも不要な通知が届くと、対応負担が増し、監視担当者のワークライフバランスが悪化する要因にもなります。
このような課題を解決する手段の一つが「正規表現を活用した通知フィルタリング」です。正規表現を活用することで、特定のキーワードを含む重要な通知のみを抽出し、不要な通知を削減できます。
別の手段として「急コール」の導入があります。重要なアラートメールを電話の自動架電で確実に伝達し、迅速な対応を促すことが可能です。
通知の最適化の必要性(通知精度が低いと起こる問題の具体例)
- 障害発生時の対応遅れ → サービス停止時間の長期化 → 顧客への影響
- 不要通知が多すぎる → 監視担当者の負担増大 → 重要なアラートを見逃す
- 夜間や休日の対応負担が増加 → 監視担当者のワークライフバランス悪化
解決方法
- 正規表現は、データ検索・抽出・フィルタリングを強力に支援するツール
- 急コールは重要なアラートメールを抽出し自動架電することで確実に伝達できる
- 適切な正規表現を設定することで、不要な通知を削減し、運用負荷を軽減できる
通知の最適化は、システムの安定運用と迅速な障害対応を支える重要な要素です。正規表現によるフィルタリングや急コールの活用により、確実な通知と効率的な運用を実現し、より安心できる監視体制を構築しましょう。
※本コラム内の「非正規表現による記載例」の箇所は、信頼性の高い最新情報を幅広い視点から提供することを目的に、ChatGPTを活用して作成いたしました。なお、ログの形式やシステム環境など、前提条件によって挙動や動作が異なります。実際のご運用にあたっては、貴社環境での動作確認をお願いいたします
※機能や情報は公開日時点のものです